2025年、世界中から人が集まる大阪・関西万博。多くの企業が注目するこの巨大イベントにおいて、ある飲食店がデジタルマーケティングで興味深い成果を上げました。
それは、最低利用金額6万円(12名席)〜という「高単価な個室予約」の獲得において、目標CPA(顧客獲得単価)を23%下回る「¥7,661」を記録したことです。
導入|広告費が高騰する「万博」で、なぜCPAを下げられたのか?
一般的に、大型イベント期間中は競合の出稿が増え、クリック単価(CPC)が高騰しやすい傾向にあります。その中で、なぜこの店舗はCPAを抑制しながら、高単価な予約売上を前期間比+88%も伸ばすことができたのでしょうか?
その裏側には、緻密に計算された「Google広告の配信設計」と、デバイスを問わず予約を完了させる「次世代スワイプ型LP」の連携がありました。今回は、実際の運用データをもとに、その戦略の全貌を公開します。
戦略1|「全国の指名買い」と「近隣の立ち寄り」を狩り分ける二段構え

今回の成功の最大の要因は、ターゲットの心理状態に合わせて「検索連動型広告」と「P-Max広告」の役割を明確に分けたことにあります。
① 検索連動型広告(Search)|全国の「目的来店」層を狙う
「万博に行くから、いい店を予約しておきたい」と考える、確度の高いユーザーに向けた施策です。「万博 レストラン 予約」などのキーワードに対して広告を出稿しました。
- 成果:コンバージョンの約8割(26件)を検索広告で獲得。
- クリック率(CTR):15.05%
一般的な検索広告のCTRが数%と言われる中、驚異的な数値を記録しました。これは、ユーザーの「探している情報(予約)」と「広告の訴求(個室あります)」が完全に合致していたことを示しています。 - 獲得単価(CPA):¥6,884
② P-Max広告|近隣エリアの「認知・地図検索」を狙う
「今、万博会場の近くにいる」「地図で店を探している」というユーザーに向け、GoogleマップやYouTubeなどあらゆる面に配信できるP-Maxを活用しました。
- 成果:表示回数 76万回超。
- 役割:
直接的なコンバージョン数は検索広告には及びませんが(6件)、圧倒的なリーチで「店舗の存在」を認知させ、指名検索や地図経由の来店を下支えする役割を果たしました。 - 副次的な役割:一般来店顧客の獲得にも貢献
今回の施策では、通常席の予約もLP上のCTAとして設置していました。予約システムの仕様上通常予約のCVを取ることは叶いませんでしたが、P-maxの意図を通して多くの一般予約の獲得に繋がったと考えています。
「今すぐ客」は検索広告で確実に獲得、「そのうち客・近隣客・一般席顧客」はP-Maxで網を張る。この役割分担が、CPA高騰を防ぐ防波堤となりました。
戦略2|AI活用と泥臭い「ノイズ除去」のハイブリッド運用
広告は「設定して終わり」ではありません。期間中、CPAを下げるために実施した具体的なチューニング(調整)の一部をご紹介します。
【施策A】フレーズ一致から「インテントマッチ」への転換
当初はキーワードの設定を「フレーズ一致(語句が含まれる場合のみ表示)」で絞っていましたが、運用途中でGoogleのAIが学習したタイミングを見計らい、「インテントマッチ(部分一致)」へ切り替えました。
これにより、「万博 ディナー」といった直接的なワードだけでなく、AIが推測する「文脈的に予約しそうなユーザー」へリーチを広げ、機会損失を防ぎました。
【施策B】徹底的な「除外キーワード」設定
インテントマッチは表示範囲が広がる分、意図しないユーザーにも表示されるリスクがあります。そこで実施したのが、「カフェ」「バイキング」といったキーワードの除外です。
高単価な個室懐石を求めるユーザーと、カジュアルなカフェを探すユーザーは異なります。この「ノイズ」を徹底的に排除したことで、無駄なクリックコストを削減し、CPA改善に直結させました。
【施策C】リードタイム「20日」を逆算した予算投下
過去の予約データを分析した結果、「来店日の約20日前に予約が入る」という傾向が判明しました。そこで、イベント終了直前まで予算を均等に使うのではなく、そこから逆算したタイミング(9月末〜10月頭)に予算を集中投下。
需要のピークに合わせて露出を最大化したことで、最後の駆け込み需要を効率よく獲得することに成功しました。
戦略3|スマホ時代に「PC」が勝つ?デバイスデータの衝撃

今回の施策で得られた最も興味深いデータが、「デバイス別のコンバージョン比率」です。
- モバイル経由のコンバージョン:13件
- PC経由のコンバージョン:19件
広告の表示回数(インプレッション)自体は、モバイルが約68万回に対し、PCは約10万回と、圧倒的にモバイルが優勢です。しかし、最終的な予約(コンバージョン)に至った数は、PCの方が多かったのです。
なぜ、PCでの予約が多かったのか?
今回の商材が「最低6万円〜」という高単価な会食・接待プランだったため、スマホで情報を知った後、「PCでじっくり詳細を確認し、比較検討してから予約する」という行動フローが生まれたと考えられます。
ここで効いた「SwipeKit」の全デバイス対応

通常、スマホに特化した「スワイプ型LP」をPCで表示すると、画面の余白が大きすぎたり、操作性が悪かったりすることがあります。
しかし、今回導入した「SwipeKit」は、モバイルでのサクサクとした操作感はそのままに、PC閲覧時にも最適なUIを提供できる設計になっています。
「スマホで認知させ、PCで刈り取る」。このクロスデバイスなユーザー行動に対して、どちらのデバイスでもストレスのない予約体験を提供できたことが、高い成果に繋がりました。
戦略4|「広告 × SwipeKit」の勝ちパターン。集めた客を逃さない“鉄壁の受け皿”
「広告でいいキーワードを買う」だけでは、予約は獲得できません。重要なのは、広告をクリックした先に待っている「ランディングページ(LP)」の質です。
今回のプロジェクトでは、広告とSwipeKitを「車の両輪」として機能させることで、成果を最大化しました。
① 「比較する隙」を与えない。直感的なUIで即決させる

一般的なWebサイトでは、ユーザーは情報の海で迷子になり、「一度戻って他の店と比較しよう」という離脱が起きがちです。
しかし、SwipeKitで構築したLPは、「1画面1メッセージ」のスワイプ操作で、ユーザーが見たい情報(料理、個室、予約ボタン)へ最短距離でナビゲートします。
優れたUI/UXでユーザーを迷わせず、他店と比較検討する(=お店変更する)隙を与えずに、熱量が高いままコンバージョンまで導く設計が、CPA低下に大きく貢献しました。
② 作って終わりじゃない。「データで即修正」する高速PDCA

SwipeKitの真価は、公開後の「分析と改善」にあります。今回の施策中にも、実際のデータを元にした大きな改善が行われました。
- 課題発見
ヒートマップ分析の結果、「個室予約ページ」への遷移率が低い(2.1%)一方で、「一般席予約」のニーズが高い(17.8%)ことが判明。 - 即座に改善
「個室」にこだわりすぎず、まずは全体の予約数を最大化するため、「通常席予約ボタン」をファーストビュー近くに移動させる改修を実施。 - 結果
機会損失を防ぎ、店舗全体の売上最大化に成功。
このように、広告の成果(CPA)が悪化する前に、LP側のボトルネックを即座に特定・修正できるスピード感が、短期間での成功を支えました。
まとめ|ツール×運用力の掛け算が成果を生む
今回の事例から言えることは、Web集客において「魔法の杖」は存在しないということです。
- ターゲットの行動を先読みした「広告の配信設計(検索×P-Max)」
- データを元にした「泥臭い運用調整(除外・予算配分)」
- そして、集めたアクセスを逃さない「最適な受け皿(SwipeKit)」
この3つが噛み合ったとき、初めて今回のような「目標CPA 23%削減」という成果が生まれます。
「高単価商材の集客に苦戦している」「広告を出しているがCPAが下がらない」という企業様は、ぜひ一度、足元の「LPの体験」と「広告の運用設定」を見直してみてはいかがでしょうか。
